2010年12月20日月曜日

法人税減税しても税源がないと言っているが...

さて,政府は法人税減税を決めましたね.

税率を5%下げるということです.

これによる税収減は1兆5千億円ということですが,

企業への優遇税制の廃止,相続税の最高税率の引き上げなどで

実質的に増税をした分を差し引いても,3500億円ほど財源がないそうです.

このことに対して,マスコミの方々は,

「税源がないのにまたも勝手なことを決めた!」

「無責任だ!」

と言って一斉に批判しておられますね.


さて本当にそうでしょうか?


そもそも,財源がないといっても,

言ってしまえば3500億円の問題です.

来年度予算は80と数兆円程度になるでしょうが,

このうち,税収で賄われているのはいくらでしょうか...?

国債を44兆円までに抑えるとか必死になっているようですが,

言ってしまえば,

少なくとも,44兆円は財源がないことは確定しているようですね.

44兆円の中の3500億円です.

1%以下です.

こんなことで騒いでいる場合じゃないですよね.

そもそも日本には財源なんてないんですよ.

なんでそこは問題視せずに,3500億円だけ突っつくんですかね?

意味不明です.

もはや,批判したいから批判しているという状態です.


法人税減税は,自民党だって主張していたことですし,

意見が同じなのに,なぜ知恵を貸さないんですかね.国益のために.

国益なんてどうでもいいんでしょうね.

現政府である民主党の方々も国益よりも党益が大事なようですが,

その他の野党の方々も国益よりも党益が大事なようですね.

この国の政治家は,本当に日本のことを考えて政治をしているのでしょうかね...


そもそもですが,法人税を5%減税をしたら,

税収が1兆5000億円下がるってどういう計算式なんでしょうね?

税収額に0.95をかけたんでしょうね,単純に.

ですが,こんな簡単に求まるものでしょうか?

税収額の関数は,税率のみに依存するのではないですよね?

世界また日本の景気動向,デフレ,金利,為替,政治情勢,,,,

その他諸々の要素が働きます.

だから,予測するのは極めて難しい.

税率をX%下げたら,来年の税収は,

「税収=今年度税収×(100-X)!!!」

ってことで出てくれたら苦労しないですよね...

マスコミの世界では通用するのかもしれませんが,

こんなこと普通の合理的で論理的な人間に喋ったら鼻で笑われますね...

リーマンショック後の税収の落ち込みは,税率を大幅に上げたからじゃないですよね.

税収は,税率のみの関数ではありません.

つまり,

税収 ≠ f(税率)

であるということです.

実際には,

税収 = f(税率,景気,為替,政治情勢,他国との比較.....)

ということなのです.

と言ってみたものの,その他多くの要素があるので,

上の表現は必ずしも適切なものとは限りませんが.

と,いうことで,

税率を5%下げたからといって,

税収が5%減るなんていうのはナンセンスです.

世界景気が一気に減速したら,

もっと税収は落ち込むでしょうし,その逆も然り.

円高が一気に進んだら輸出産業は大きく影響を受け,

これもまた税収の大幅減につながりますし,その逆もまた然り.

この辺の要素を全く考えずに税率だけで語るのはナンセンスです.


まあ百歩譲って,

世界景気,為替,その他諸々が全部,今年と同水準だったとしましょう.

その場合,予想通りに税収は5%減となるでしょうか?

税金が安くなったら,

海外から企業が本社を移すかもしれませんよね?

それに,国内の企業が海外に移そうと思っていた生産を,

国内に残すもしくは新たに国内に拠点を作るかもしれませんよね?

ということは,税収自体が増えるかもしれませんよね?

税率を5%下げれば,税収はむしろ増えることになるんじゃなかろうか?

こんなことも,一応考えられます.


ですが,実際はそんなことはありません.

ありえません.


なぜでしょうか?


その理由としては,日本に魅力がないからです.

海外企業からしてみれば,

5%下がったからといってまだ税率自体が高く,

高齢化が進み人口減少社会の日本で,

すぐ近くに成長著しい中国があるのに,

アジアの拠点として日本に拠点を置く必要性が極めて小さいからです.

だから,あまり期待できるものではありません.


次に国内企業です.

国内企業としては,税率は下げてほしいので主張はしますが,

人件費が高く,土地も高く,インフラも高く,さらには税金も高い,

そんな国からどんどん生産を海外移転している最中です.

ですから,その流れは5%程度の下げで止まるようなものではありません.

つまり,税率を下げても,国内企業は生産を海外に移します.

表では税率を下げたことを評価する,といいつつ,

裏ではしっかり海外に生産を移します.

普通の経営者なら,こうします.

(まわりからその会社がどう見られるかどうかは別ですけどね...)

さらに,政府側は,

減税した分を国内投資や賃金上昇に充てろと言っていますが,

企業側にそんなことをする義務はありません.

減税で浮いた分は,賃金上昇には反映されず,国内投資にも回らないでしょう.

浮いた分は海外投資に回し,国内採用を絞るなどして賃金はむしろ下げます.

すごく悪く聞こえるように書いていますが,

残念ながら,こうなるのが普通だと思います.

それは,日本に魅力がないからです.

日本に投資する理由が見当たらないからです.

企業は,自分たちの活動しやすいところに移転していき,

自由に経済活動を行うものです.

残念なことですけど,日本企業だからといって,

日本で活動をする義務はもともとないんですよね.

国がどうにかして企業を誘致するのであって,

企業側に特に義務はないですよね.あるのは納税の義務だけです.



さあ,長くなりましたが,

結論としては,

法人税を5%減税したところで,税収は5%減少しない.

むしろもっと減少する!


ということです.



今日記事は特にこのブログには関係ないですね.



この記事は,

出典,リンクだけ記載して頂ければ,転載して頂いても構いませんので,

どうぞ,ご自由にしてください.

そして,もう少しみんな個人で物事を考えましょう.

マスコミの誘導に乗らないようになりましょう.

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