最近の為替動向としては,
株式市場が一時期より回復し,投機マネーがよりリスク志向を回復したこともあり,
ドル全面安の展開が続いています.
円に対しては比較的安定した動きを見せていたのですが,
ここに来てドルは円に対しても値を下げています.
前日の取引では,欧州勢参入前は96.50付近で取引されていましたが,
参入後は急激に値を下げ,一気に96.10付近までの下落.
その後は96.40付近まで回復したものの,それも長続きせず,
下落基調に転じます.
そして,先ほど,3時45分ごろ,急激な下落が始まり,
一時95.25付近まで下落しました.
ただ,この円高の動きはドルに対してのみではなく,
円はドルの他にも,ユーロや他の通貨に対しても値を上げています.
この主な要因として挙げられるのが,ダウ平均の急落です.
この日の取引では前日比-172ドルとなっています.
米4月小売売上高も前月比-0.4%で,市場予想を下回ったことも要因でしょう.
現状の株式市場では,ほぼ不況時の株高に突入しているといっても過言ではない気がします.
経済指標はどれをとっても悪いものであることに見切りをつけた投資家は,
市場予想より実際の指標が良かったか悪かったかのみを基準に投資活動をしています.
実際,アメリカの失業率はここ何ヶ月かどんどん悪化していっていますが,
それに対する市場の反応は,予想よりも悪化していなかったとして,買いで反応.
市場関係者は,現状では,いつ底打ちをするか,(もしくは,もう既にしたのか?)
ということに注目を続けています.
とにかく,少し良いことがあると,
「回復の兆し」
という言葉を使って,投資に資金を流し込もうとする政府側の努力が見え隠れします.
確かに,現状でさらに指標が悪化しているということだけを強調していては,
投資マインドが減退していき,あらゆる市場にお金が回らないという事態が再発してしまうでしょう.
いわゆるリーマンショック以後のドル不足をいうやつですね.
あの時は各国との通貨スワップを活用してなんとか乗り切りましたが,
金利が急上昇するなど大きな混乱が生まれました.
それに伴い株式市場も売り一辺倒となり,世界中に株安が連鎖し,
株価の下落を受けて消費が大きく低迷するという事態に突入しました.
不況時の株高というのは,景気回復への期待感のみで進んでいくという点に関しては,
健全であるとは言い難いと思います.
現在の株価と,企業の業績は,かなり乖離しています.
下方修正,赤字を連発し,政府からの資金援助を受けようとするような企業もあるような時期に,
株が本当に買いであるかどうか,大きな疑問を感じます.
この後の経済の回復がV字回復にはなりえないことが,各経済学者から聞かれます.
W字型,ナイキ型,L字型などたくさんの予想が出ていますが,
大雑把に言うと,短期では回復したように見える動きをしても,
中期,長期的な視点から見れば,長く低迷が続くだろうということです.
その大きな理由としては,消費の低迷,物価の下落に伴う企業収益の減少です.
企業の収益が減ると,結果として給料の下落につながります.
そうなると,さらに消費の減退につながり,
大きな景気回復は見込めません.
将来の景気回復に向けて必要になってくるのは,
やはり,各分野での技術革新,新たな付加価値の創造ということになってくるでしょう.
2009年5月14日木曜日
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